現場対話型スタートアップ協働プロジェクト

令和7年度東京都現場対話型スタートアップ協働プロジェクト

福祉局 障害者施策推進部 × 株式会社EbuAction 協働ストーリー

〜 協働テーマ 〜

障害者の困りごとや必要な配慮を疑似体験できるデジタルコンテンツを作成し、
多様なコミュニケーション手段の普及啓発につなげたい!
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  • 福祉局 障害者施策推進部

    福祉局は、障害のある方が必要な情報を適切に取得し、円滑にコミュニケーションを行える環境づくりを推進しています。意思疎通を図るための多様なコミュニケーション手段の普及啓発や、都民理解の促進に向けた取組を進めるとともに、意思疎通に係る手段について選択の機会が確保され、手段を選択できる環境づくりを進めています。

    株式会社EbuAction

    株式会社EbuActionは、ゲームプラットフォーム「Roblox」を活用した疑似体験型コンテンツの企画・制作・集客までを一連の流れで支援するスタートアップ企業です。デジタル上でのユーザー接点の創出やブランド体験の提供を強みとし、従来の一方的な情報伝達ではなく、体験を通じてユーザーの理解や共感を深めるコンテンツづくりに取り組んでいます。

    協働プロジェクト紹介

    課題背景

    障害のある方が情報を入手したり、円滑にコミュニケーションを図るには、障害の種類や程度に応じた多様なコミュニケーション手段の活用が重要である一方で、都民全体における理解や認知の浸透は十分とは言えない状況にありました。また、従来の福祉局での広報手法では、アプローチが限定的となりやすく、特に若年層に対して関心や理解を広げていくことが課題となっていました。こうした背景を踏まえ、障害者の困りごとや必要な配慮、コミュニケーション手段に対する理解や共感を促し、日常生活の中での「気づき」や行動のきっかけにつなげていくための、新たなアプローチが求められていました。

    ソリューション

    若年層への親和性が高いゲームプラットフォーム「Roblox」を活用し、障害のある方とのコミュニケーションを疑似体験できるデジタルコンテンツを開発。ゲーム体験を通じて、多様なコミュニケーション手段への理解促進、共感、具体的な行動への気づきにつなげることを目指しました。

    プロジェクト実施期間

    2025年9月~2026年2月


    協働の様子

    プロジェクトの進行

    本協働プロジェクトでは、単なるコンテンツ開発にとどまらず、ゲームという特性を活かしながら、コミュニケーションの多様性をいかに伝え、学びにつなげていくかを、プロジェクト全体を通じて継続的に検討してきました。株式会社EbuActionは、20代の若手メンバーを中心としたチームであり、まさに本プロジェクトの主なターゲット層に近い立場からコンテンツ開発に取り組みました。開発にあたっては、「東京都障害者情報コミュニケーション条例」を自ら読み込み、その趣旨や背景への理解を深めた上で、ゲーム設計に反映させていきました

    社内においても、「この場面ではどのような声かけが望ましいのか」「どのような言葉や口調であれば、効果的にコミュニケーションがとれるのか」といった観点で議論を重ねながら、リアリティと学びの両立を意識したコンテンツ設計が行われました。こうした検討内容については福祉局とも随時すり合わせを行い、実際にプレイする方にとって理解が深まり、現実の行動につながりやすい内容となるよう、丁寧に調整を重ねました。

    また、開発過程においては、障害当事者の方々への意見聴取も実施しました。その中では、「役に立つと感じた」「非常に有意義である」といった肯定的な評価が多く寄せられたほか、「具体的な言葉遣いや声かけの例示があることで、実際の場面をよりイメージしやすい」「ゲーム内での行動の結果がどのような影響をもたらすかまで示されると、さらに学びが深まる」といった建設的な意見も得ることができました
    これらの意見を踏まえ、コンテンツの改善を重ねながら完成度を高めていきました。

    さらに、若年層への効果的なアプローチを実現するため、広報施策についても協議を重ねました。インフルエンサーの活用、ゲームプラットフォーム内での広告など、複数のチャネルを組み合わせた広報施策を実施し、実際の利用データをもとに効果検証を進めました。


    プロジェクトの成果

    成果

    本プロジェクトにより、ゲームのプレイ回数は47,500回を超え、アンケートにおける「ゲームを通して障害やコミュニケーションへの理解が深まりましたか?」という設問において、5段階評価で平均4.11という評価を獲得するなど、一定の効果が確認されました。また、「ゲームを通じて理解を深められる意義ある取組だった」「楽しみながら学ぶことができ、友人にも紹介したい」といった定性的な評価も多く寄せられ、学びのあるコンテンツとして一定の手応えを得ることができました。加えて、開発プロセスにおいて障害当事者の意見を反映しながらコンテンツを磨き上げたことにより、単なる啓発コンテンツではなく、実際の現場に即した実用性のあるツールとなりました。

    今後の展望

    今回の協働では、行政との協働経験が必ずしも豊富ではないスタートアップであっても、対話を重ねながら部局と丁寧にコミュニケーションを行うことで、部局の期待や課題意識を的確に捉え、都民の理解促進や行動変容につながる社会的意義のある取組を共に創り上げることができました。また、協働プロジェクト終了後には、福祉局からは「スタートアップの斬新なアイデアにより、行政だけではできないプロジェクトを実現でき、今後さらなる理解促進につながるといい」といった声が、EbuActionからは「障害者団体や行政との対話を重ねる中で、現場の課題と当事者の声を深く理解できたことが、本プロジェクトの最大の学びだった。本プロジェクトを通して、行政課題をゲーム体験で解決できるという確かな手応えを得られた。この実績を足がかりに、福祉・教育・税務など幅広いパブリック領域でのゲームを活用したコミュニケーション支援を展開していきたい 」といった声が寄せられました。

    今回の協働を通じて、若年層に対して障害及び障害のある方、そして多様なコミュニケーション手段への理解を促進する手法として、ゲームというアプローチが有効であることが見えてきました。今後は、より多くの方に本コンテンツを活用いただくため、各種研修・啓発機会への展開など、利用シーンの拡大を検討していきます。

    また、より幅広い層へのアプローチを目指すことで障害のある方とのコミュニケーションに対する理解が、社会全体でより自然に広がっていくことを目指していきます。