現場対話型スタートアップ協働プロジェクト

令和6年度東京都現場対話型スタートアップ協働プロジェクト

教育庁地域教育支援部 × ボールドライト株式会社 協働ストーリー

〜 協働テーマ 〜

東京に多く残っている「文化財」にもっと興味を持ち、
もっと訪れたくなるような、デジタルコンテンツを作成したい!
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  • 教育庁地域教育支援部

    東京都教育委員会では、文化財活用事業として、毎年の「文化の日」前後に、都内の文化財や文化財イベントを紹介する「東京文化財ウィーク」を実施しています。東京の文化財に興味を持ち、訪れたくなるよう、新たな体験型のデジタルコンテンツを作成し、広報活動の更なる拡充を目指しています。

    ボールドライト株式会社

    ボールドライト株式会社は、デジタルマップ構築を基盤とする「プラチナマップ・プラットフォーム」を開発・提供しています。目的、手段、消費を一体化させたDXプラットフォームを通じ、認知獲得から回遊促進、運営者の管理コスト削減、SDGsの実現に至るまで、広範な課題解決力で社会のDX化を支援しています。

    協働プロジェクト紹介

    課題背景

    教育庁地域教育支援部では、東京都教育委員会が実施する「東京文化財ウィーク」への来訪者数の増加および文化財の認知度向上を目指し、様々な広報活動に取り組んでいましたが、若年層の取り込みや情報発信の効果検証の実施に課題を抱えていました。そこで、子供・若者および親子連れを主な対象としたデジタルコンテンツの導入を検討していました。

    ソリューション

    文化財情報が可視化されチェックイン機能が搭載されたデジタルマップ
    文化財情報の管理および文化財所有者とのコミュニケーションを効率化する文化財DXプラットフォーム

    プロジェクト実施期間

    2024年9月~2025年2月


    協働の様子

    プロジェクトの進行

    本協働プロジェクトでは、最初のステップとして、協働プロジェクトへ応募したスタートアップと都政現場が集まり、都政現場が抱えている課題や対応策を議論する「対話イベント」を開催しています。この対話イベントの議論を経て、都政現場が抱えている課題は、「文化財の認知度の不足」だけではなく、「文化財所有者とのコミュニケーションの煩雑さによる業務負荷の増加」にあることが分かりました。



    「対話イベント」の実施後、選定プロセスを経てボールドライトが採択事業者として決定し、9月中旬から協働プロジェクトが開始しました。およそ半年間程の本事業において何を最重要の課題として解決していくべきか、から協議を開始し、「対話イベント」での議論を踏まえて、文化財の認知度向上を目指したデジタルマップの導入と、文化財所有者とのコミュニケーション負担を軽減する文化財DXプラットフォームの導入、を並行して進めることとなりました。
    11月上旬に開始する「東京文化財ウィーク」まで1か月ほどしか無い中、ボールドライトと教育庁で密に連携を取り、スムーズに「東京文化財ウィーク」で利用するデジタルマップ(以下、「特別マップ」という)の公開に至りました。




    「東京文化財ウィーク」の終了後、当初は、通年で公開するデジタルマップ(以下、「通年マップ」という)のリリースを優先して行う予定でしたが、「東京文化財ウィーク」でデジタルマップの効果を確認できたこと、および文化財情報の管理における業務負担を改めて感じたことから、教育庁とボールドライトで協議の上、より都政現場の課題解決に効果的な文化財DXプラットフォームの構築を優先することとなりました。そして、通年マップの公開前に発生する文化財所有者とのコミュニケーションにおける負担がどれだけ軽減するかの検証を行ったうえで、通年マップの公開までを2月までに完了させることが出来ました。


    プロジェクトの成果

    成果

    「東京文化財ウィーク」で公開した特別マップではユーザーから高く評価頂き、また、どのような文化財が人気か、どのようなワードで検索がなされているかなどの分析を行い、今後の情報発信の検討材料を得ることが出来ました。また、文化財DXプラットフォームによって、これまで約30時間かかっていた文化財所有者とのコミュニケーションに係る業務が、約4.1時間にまで短縮され、業務負担の軽減および空いた時間での情報発信への注力が可能となりました。




    今後の展望

    今回の協働では、都政現場とスタートアップが「対話」を繰り返すことによって、都政現場が抱える真の課題の発掘と課題の優先度を柔軟に変更することで、短期間ながら最大限に効果を高める実証に取り組むことが出来ました。協働プロジェクト終了後、教育庁からは「文化財DXプラットフォームの管理範囲や要件定義など、議論が難航しがちな業務を、都政現場の課題に合わせて迅速かつ柔軟に実施頂き、半年間とは思えない成果を創出頂いた」との声が、ボールドライトからは「通常の入札契約では仕様書に書いてあること以上の成果は生まれにくいが、都政現場との対話によって、真に解決するべき課題に取り組むことが出来た」との声が上がりました。今後、年間を通じてのデジタルマップの公開とさらなる文化財所有者とのコミュニケーションの改善、および、将来的には国内文化財3,000件のデジタルマップ化までを見据えています。